海はタヒチアンに生命の循環を教え、人々は海を知り、畏れ、敬います。伝統的なアウトリガーカヌー、サーフィン、セーリングは、ここタヒチの島々では日常生活の一部ですが、ツーリスト向けにはサンセットクルーズ、カヤック、ジェットスキーなどもあります。タヒチの人々の精神世界では、海と熱帯雨林と天国は神の領域です。この地を訪れた人には、きっとそれが分かるでしょう。
主要なダイビングスポット
それぞれの島や環礁の周辺に個性豊かなダイビングスポットがたくさんあり、資格のあるオペレーターが現地で細かな手配を提供します。ダイビングや各種アクティビティは、ご利用の旅行会社や滞在中のリゾート、クルーズ船を通じて事前に手配することも可能です
タヒチの島々の透き通った海には、他では見られないほど多様な色、大きさ、形を持つ1,000種類以上の魚が生息しています。小さい魚ほどカラフルでサンゴの園やラグーンの浅瀬を好みますが、大型の魚はたくさんの生きものでにぎわう入江や複雑な岩礁、あるいは外洋を悠々と泳ぎます。
海溝、洞窟、環礁が入り組み、海の生きものたちに影や割れ目など、たくさんの隠れ家を提供します。
400万平方キロメートルの天然の水槽
他にはないその多様な生態系のために、科学者はポリネシアの海域を「地球で最も豊かな水槽」と捉えています。2000年、この一帯の海域は「排他的経済水域(EEZ)」に指定され、野生生物の保護区として流し網漁などが禁止されています。こうしてフランス領ポリネシアは、世界自然保護基金(WWF)から高い評価を得ています。
ツアモツ諸島やソシエテ諸島のターコイズ・ブルーのラグーンには、細身の色彩豊かな魚が生息し、世界中の海に生息するイルカ類の約3分の1が集まっています。 スズメダイ、ボラ、イットウダイの大群がサンゴの間を跳ね回るように泳ぎ、その横をしま模様のシマハギやしかめっ面のムラサメモンガラが通り抜けていきます。
マンタはキラキラ光る海底を滑るように泳いでいるかと思うと、突然に海面へ跳ね上がり、再び海に潜ります。その近くではサメが悠然とラグーンで日向ぼっこをしています。ウミガメは人気のないビーチの温かい砂の中に産卵し、クジラはオーストラル諸島、ガンビエ諸島、ツアモツ諸島、ソシエテ諸島の静かな入江で交尾や出産をします。
フランス領ポリネシアに生息するさまざまな種類のイルカも、クジラと同様に保護種に指定されています。年間を通じてどの島の周辺でも見ることができます。イルカの行動は人間にとてもよく似ており、出産・子育てをし、肺で呼吸します。またそのコミュニケーション能力はとても優れています。タヒチの島々滞在中に、かなり高い確率でイルカに出会えるでしょう。特に、バンドウイルカ(学名tursiops truncatus)、ハシナガイルカ(学名stenella longirostris)、シワハイルカ(学名steno bredanensis)の3種は、場所によっては頻繁に目撃されています。
世界全体で知られている350種類のサメのうち、19種類を見ることができるフランス領ポリネシアは、ダイバーがサメを鑑賞するのに絶好の場所です。またサメに対する世間一般のマイナスイメージを払拭するにも最適です。タヒチの島々で最も一般的に遭遇するサメは、有名なカマストガリザメ(学名scarcharhinus melanopterus、タヒチ名:マオ・マウリ)、オグロメジロザメ(学名carcharhinus amblyrhynchos、タヒチ名:ライラ)、レモンザメ(学名negaprion acutidens、タヒチ名:アラバ)、シュモクザメ(学名sphyrna lewiniまたは sphyrna mokarran、タヒチ名:マオ・ツアマタ)の4種です。
フランス領ポリネシアには主に2種類のウミガメが生息しており、いくつかのダイビングスポットですぐに出会うことができます。アオウミガメ(学名chelonia mydas)は、その名前どおり、肉と体脂肪が青緑色をしています。メスは15~20歳で成熟し、体長1.5メートル、体重は最大200キロにもなります。幼少期は肉食性ですが、大人になると草食性になります。タイマイ(学名eretmochelys imbricata)はアオウミガメよりも小さく、体長は90センチ以下、体重も最大90キロほどです。肉食性で、前足を使って岩を動かしながら、岩の下に固着するカイメンを探している姿がよく目撃されます。繁殖の周期が長く、生殖能力が成熟するまでに長期を要します。また人間による開発で生息地を奪われ、産卵場所が減る一方であり、流し網漁や狩猟の犠牲にもなっています。ウミガメは現在、世界的に絶滅の危機にあります。タヒチの島々では、ウミガメを保護する意識を高めるために、さまざまなキャンペーンを実施しています。
エイは軟骨魚類に属しており、サメの仲間でもあります。約1億5,000年前に登場し、サメと同じく、全身の骨格が軟骨でできています。サメとの大きな違いは、鰓裂(咽頭部の裂け目)が腹部にあることと、推進力を生む特大の胸ビレが頭部と一体化していることです。このため、その姿はまるで海中の鳥のように優雅です。また仲間であるサメと同様に、エイには鰭脚と呼ばれる2つの交尾器があります。タヒチの島々でよく見られるエイは、 オグロオトメエイ(学名himantura fai、タヒチ名:ファイイウ)、トビエイ(学名aétobaus narinar、タヒチ名:ファイマヌ)、オニイトマキエイ(学名manta birostris、タヒチ名:ファファピティ)の3種類です。 この他にも、マルケサス諸島で見られるオトメエイ属(学名himantura)のマンタや、ツアモツ諸島、ガンビエ諸島、マルケサス諸島で遭遇することがある外洋性のタイワンイトマキエイ(学名mobula tarapacana)など2種類のマンタが見られます。
タヒチの島々周辺の海中にはドラマティックな景観が果てしなく広がっています。ダイビングやシュノーケリングで海へ出ると大型の海洋生物が密集していることに驚きます。マンタの巨大なヒレの影がダイバーの横を通り過ぎたり、波の間をイルカの群れが飛び跳ねたりするのは、ここではごく一般的な光景です。サメもいたるところにいるようです。またオーストラル諸島では、運がよければ、毎年この海域に帰ってくるザトウクジラの群れに遭遇できるかもしれません。
フランス領ポリネシアは、プロ・アマチュアを問わず、写真家を魅了する完璧な撮影地です。海の透明度と視界の良さは卓越しています。サメや遠洋魚との感動的な遭遇を記録するには広角レンズが適しています。もちろん、至近距離からの撮影もスリリングでしょう。タヒチの島々は、ザトウクジラの驚くべき姿をビデオや写真に収められる場所として世界的に有名です。出入国の際に関税をめぐるトラブルを避けるために、カメラや付属品類については購入時の領収書のコピーを携行することをおすすめします。
多くのダイビングセンターには、スタッフの水中カメラマンがツーリストのダイビングに同行し、タヒチの島々でのダイビング記念として特注のDVDを製作しています。
タヒチの島々には、水中写真やドキュメンタリー番組の撮影チームをサポートできる豊富な専用機材と大勢のプロフェッショナルがいます。それぞれの専門分野で幅広い経験と優れた人脈を有する現地のプロデューサーもいます。彼らのほとんどが有能な技術チームを率いており、耐水ケース付きのHDカメラを用意することも可能です。どの島もまるで天然の水中スタジオのようです。
タヒチ島、モーレア島、ボラボラ島では、グラスボートや「アクアスコープ」(ボート用の橋の下の海中展望スペース)から、濡れることなく、ラグーン中の隠された世界をのぞき見ることができます。水中の景色を撮影する絶好の機会となるタヒチならではのアドベンチャーです。また水深50メートルまで潜ることができる小型潜水艇は、濡れることなく深海を細部まで観察できる理想的な乗り物です。
ヘルメットダイビングでは、水深3~4メートルの海中散歩を楽しめます。水上とつながったヘルメットをかぶって行うので、一般的なダイビングの技術や知識は必要ありません。資格のあるインストラクターが同行しますので、サンゴが広がる海底をご自身のペースで散策できます。
水中スクーターなら、ダイビング経験がない人でも水中を気軽に楽しめます。水中スクーターは陸上のスクーターと同様の電動式で、水深3メートルまで潜ることができます。2人乗りで、1つのドームに覆われているため、会話も可能です。このアクティビティはボラボラ島で提供されています。
タヒチでダイビングをする為の最高のガイドを探してみましょう。クリスタル・クリアなターコイズ色のラグーンで、健康的なサンゴや素晴らしい海の生物に出会えるタヒチの島々のダイビングを楽しみましょう。